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中才敏郎(なかさい・としろう 1948-)


▼人
□大阪出身。大阪市立大学教授。
▼文献
■中才敏郎、1995『心と知識』勁草書房.
●中才敏郎、2007「ヒューム」松永責任編集[2007:209-282]★→ヒューム

■松永澄夫責任編集、2007『哲学の歴史6 知識・経験・啓蒙――18世紀 人間の科学に向かって』中央公論社.


▼引用
■中才敏郎、1995『心と知識』勁草書房.
□「[…]アリストテレスは、責任を問われた場合に言い訳となる二つの条件――行為の端初が行為者の外部にある場合と行為が無知ゆえに為された場合――を取り出すことによって随意的行為の規定に達している。
 しかし、かく規定された随意的行為は責任を課する根拠たりうるであろうか。動物や子供の行為は随意的であっても責任を問われることはない。責任を問われるのはむしろ動物の飼い主や子供の両親であろう。ここで「選択」(prohairesis)という概念が登場する。選択は随意的と同じではなく、それより狭い範囲にかぎられる。子供や動物の行為あるいは激情による行為は、随意的ではあるが選択によるものではない(1111b6-10)。それらの行為に欠けているものは「思量」(bouleusis)である」(21)

□「では、責任の根拠は何に存するのであろうか。アリストテレスによれば、選択を左右するのはアレテーないし徳であるが、その徳を形成するのは行為である。人は正しい行為を為すことによって正しいひとになり、悪しき行為を為すことによって悪しきひととなる。したがって、徳を有するも悪徳を有するもわれわれの意のままになる(epi hēmin)ことである。そうであればこそ、正しい行為は賞賛され、悪しき行為は非難される。懲罰が悪しき行為を妨げるために有効な所以である。[…]人は善悪の尺度であり規準である。それゆえ、性格こそがアリストテレスにおいて責任の根拠であったと言えるであろう。性格はわれわれの行為の積み重ねによって形成されるからである」(22)

△キーワード:アリストテレス 責任

□「しかし、とチザムは言うであろう、われわれの行為ないし選択には原因つまり十分な因果的条件があるかないかである。もし前者だとすれば、われわれの行為はすべて不可避であり、後者だとすればわれわれの行為はすべてでたらめである。いずれにせよ、われわれは自らの行為に対して責任がないことになる、と★」
 ★ Chishom, "Responsibility and Avoidability," in S. Hook ed., op.cit. : 158.

△キーワード:決定論 責任 チザム


◆20090806, 20100908, 20130107

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