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病人役割（sick role）
◆総論
□「米国の社会学者、パーソンズ（Talcott Parsons）は、病気の状態にはその状態にある人に期待される社会的役割があるとして、それを病人役割と名付けた。彼によれば、この役割は、（1）病気であることに対して責任を問われない、（2）通常の社会的責務を免除される、という権利と（3）他者と協力して病気を治すように努める、（4）専門家、今日では医師の治療を求め、医師と協力する、という義務からなる。この定式に対して、理論的・経験的レベルの多くの修正や批判が寄せられている。例えば、病者と患者を区別していない、医師と患者の現実の利害の対立を無視している、など。だが、この概念は今日でも社会における病気と病者の位置を理解する上で最も有効な概念の一つである」（黒田［1999：837］）
□「パーソンズ、T. が明らかにしたように、阻害の程度が大きく、かつ、その状態から回復させることができる（とされる）治療法がある場合、病人には「病人役割」が期待される。つまり、そのような状態に陥ったことに対する責任が免除され、社会のメンバーとしての活動を休止し、その社会の正当的な治療者の治療を受けて、回復に努めなければならないとされる」（黒田［2012：1276］）
▼文献
●――――、1997「病人役割」濱嶋・竹内・石川編［1997：522］
●黒田浩一郎、1999「病人役割」庄司・木下・武川・藤村編［1999：837］
●黒田浩一郎、2012「病」大澤・吉見・鷲田編集委員・見田編集顧問［2012：1275-1277］
■濱嶋朗・竹内郁郎・石川晃弘編、1997『社会学小辞典 新版』有斐閣.
■庄司洋子・木下康仁・武川正吾・藤村正之編、1999『福祉社会事典』弘文堂.
■大澤真幸・吉見俊哉・鷲田清一編集委員・見田宗介編集顧問、2012『現代社会学事典』弘文堂.
▼関連
◇役割 ◇病
◆20110804, 20121226, 20130419, 0918*
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