社会福祉法人（social welfare corporation）
□「社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人。社会福祉事業の公共性から、民法上の公益法人と比較してその設立運営に厳格な規制が定められている」（石田［2013：171］）
◆沿革
□「1951年に社会福祉事業法（現、社会福・・171 祉法）が制定され、社会福祉法人制度が創設されるまでは、民間施設は、個人または任意団体によって経営される以外は、民法上の公益法人によって経営されていた。しかし、民法上の公益法人は、公共性を高めて社会福祉の向上に貢献するためには、やや簡略すぎて制度的に不備な面があった。そこで、民法上の公益法人とは別に社会福祉法人制度が創設されることとなった」（石田［2013：171-172］）
◆設立と運営条件
□「社会福祉法人の設立は、定款について所轄庁の認可を受け、主たる事務所の所在地において設立を登記することによって成立する。社会福祉法人の所轄庁は、都道府県知事（指定都市及び中核市においてはその市長）である。ただし、社会福祉法人が行う事業が2つ以上の都道府県の区域にわたる場合には、その所轄庁は厚生労働大臣となる」（石田［2013：172］）
□「法人格を取得するためには、社会福祉法に規定される要件を満たし、都道府県知事や厚生労働大臣の認可を受けなければならず、極めて高い公共性と公正かつ適正な運営責任が求められる。したがって、第一種社会福祉事業の経営主体には、国、地方公共団体と並んで社会福祉法人も含まれている」（田畑・岩崎・大山・山下編著［2013：169］）
◆社会福祉事業／公益事業／収益事業
□「［…］主たる・・168 事業とは、分類すると社会福祉事業、公益事業、収益事業である。このうち、社会福祉事業は、社会福祉法第2条に規定されている第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業をいう。これらの事業は、同条に詳細に列記されているが、おおよそ簡単に整理すると、第一種社会福祉事業は、入所施設を経営する事業や低所得者等に無利子または低利で資金を貸し付ける事業等である。これらは、利用者の人権の侵害につながる要素が高いことから、特に人権について擁護すべき事業である。第二種社会福祉事業は、第一種社会福祉事業に比べて、比較的人権の侵害の恐れが少ない事業で、デイサービス、ショートステイや保育所等の通所による事業をいう」（田畑・岩崎・大山・山下編著［2013：168-169］）
□「社会福祉法人は、社会福祉事業以外にも、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業（公益事業）、または、その収益を社会福祉事業の経営に充てることを目的とする事業（収益事業）を行うことができる。公益事業については、社会通念上は公益性が認められるものであっても、社会福祉とまったく関係のないものは認められない。また、収益事業については、事業の種類については特別な制限はないが、法人の社会的信用を傷つけるおそれのある事業は認められない」（石田［2013：172］）
◆役員
□「社会福祉法人には、役員として理事および監事を必ず置かなければならず、必要に応じて評議員会を置くことができる。各役員については、社会福祉法人の公共性を確立するため、配偶者および3親等以内の親族が役員の総数の2分の1を越えてはならない」（石田［2013：172］）
◆資産
□「社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならず、また解散の場合の残余財産は、定款によって定められた社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者または国庫に帰属することとなっている」（石田［2013：172］）