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公平（impartiality）

◆アダム・スミス
□「いずれの当事者（parties）にも肩入れせず、不偏・中立な立場にあること。あるいはそうした立場から下された判断の性質。アダム・スミスAdam Smithの『道徳感情論』（1759）が「公平な観察者（impartial spectator）」の共感を得られるかどうかを行為や感情の適宜性の条件に据えたことから、道徳的判断が備えるべき要件のひとつとされるようになった」（川本［2006：279］）

◆ロールズ
□「ロールズJohn Rawlsは『正義論』（1971）において、功利主義は「満足の最大化」という個人にとって合理的な選択原理を無媒介に社会へ拡大適用していること、そのため公平で共感能力のある観察者の想像的行為を通じて、複数の人格をすべて1つの人格へと合体・融合体（conflating all persons into one）という無理を冒していると批判した。功利主義の欠点は、公平性（impartiality）を没人格性＝非人称性（impersonality）と取り違えているところにあるというのだ」（川本［2006：279］）

◆不公平主義
□「さらに近年のコミュニタリアニズムや徳倫理学の潮流を背景にして、公平という理念そのものを疑問視しようとする論理動向（不公平主義partialismと総称される）がある。すなわち公平を重視することは、私たちの人生に意味を与えてくれる身近な人への（偏ったpartial）思い入れやコミットメントへの過小評価につながるのではないかというのが、不公平主義者の言い分である」（川本［2006：279］）

▼文献
●川本隆史、2006「公平」大庭・井上・加藤・川本・神崎・塩野谷・成田編集委員［2006：279］

■大庭健・井上達夫・加藤尚武・川本隆史・神崎繁・塩野谷祐一・成田和信編集委員、2006『現代倫理学事典』弘文堂.

▼関連

◆20110709, 20121231, 20130806*

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