科学技術会議／総合科学技術会議／総合科学技術・イノベーション会議（Council for Science, Technology and Innovation）

◆総合科学技術会議の歴史的意味
□「いままで見てきたように、日本では現在でも「科学技術バブル」が破裂していない。その機関車役を担っているのは政府である。そして、政府が1990年代以降進めているのが、科学技術政策一元化である。それは従来の分権的（割拠主義的）な様式から集権的な様式へと、科学技術政策の企画・決定の仕組みを改める動きである。まず、その経緯について簡単に説明する。
　科学技術政策一元化の企ては、歴史上何度か試みられてきた。最初のケースとしては、本書『科学の社会史』に取り上げられている第二次世界大戦期の科学技術動員があげられる。しかし、日本の科学技術動員は関係省庁・機関の混成部隊として実施されるにとどまった。1950年代前半に台頭した科学技術庁設置構想も、科学技術政策の一元化を目指したものだったが、前述のようにビッグテクノロジー分野のみを掌中に収めるにとどまった。1959年2月に設置された総理府科学技術会議も、科学技術政策の一元化を目指したものである。しかし、科学技術会議の役割は限定的なものであった。それは、内閣総理大臣の諮問に答えて、10年前後の間隔を置いて総論的な基本答申（第1号：1960年、・・286 第5号：1971年、第11号：1984年、第18号：1992年）を発表するとともに、個別分野に関わる重要案件が生ずるたびに諮問に答えて各論的な答申を発表してきた。だが、その活動の密度は低く、答申内容もおおむね抽象的な性格のものであった」（吉岡［2003：286-287］）

□「ところが、1990年代に科学技術政策一元化の動きは再燃した。そのプロセスの最終的な到達点が、2001年1月の内閣府総合科学技術会議の発足である。それは総理府科学技術会議の発展的改組によって作られた。総合科学技術会議は、内閣機能の強化という基本原則にのっとって、個別省庁の上位の立場から重要政策の企画・立案・総合調整をおこなう機関として位置づけられており、主要閣僚がメンバーとして顔をそろえている。したがって、その決定は閣議決定に準ずる権威をもつことになる」（吉岡［2003：287］）

◆総合科学技術会議の機能
□「総合科学技術会議の基本政策は、5年ごとに改定される科学技術基本計画のなかで包括的なかたちで提示される」（吉岡［2003：289］）

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