山脇直司（やまわき・なおし　1949-）

▼人
□青森県八戸出身。一橋大学、上智大学大学院、ミュンヘン大学哲学博士。東京大学大学院教授。公共政策。

▼文献
■山脇直司、2004『公共哲学とは何か』ちくま新書.
■山脇直司、2008『社会とどうかかわるか――公共哲学からのヒント』岩波ジュニア新書（608）.

▼引用
■山脇直司、2004『公共哲学とは何か』ちくま新書.
□「人権や徳性とともに活私開公の基本原理をなすもうひとつの要素は、「責任＝応答（responsibility）」です。公共世界は無責任な言行によっては決して構成することができません。第3章6節で取り上げた戦後の革新的公共哲学者丸山真男は、戦前の日本のウルトラ国家主義が「無責任の体系」によって支えられたと批判しています。為政者の誰も自らの言行に責任をとらないようなずるずるべったりの国家システムが、日本を戦争に突っ走らせてしまったというのです。
　[…]
　もちろん、公共世界を成り立たせる要因としての責任は、そうした政治問題にはとどまりません。現下のサイバースペースにおいて匿名のままなされる無責任な言辞は、しばしばエモーショナルなやりとりに発展することがありますが、そうした発話空間は公共空間の名にあたいせず、私的空間に属するものです。」（150）「前述した合意形成によって成り立つコミュニケーションや、異質な他者の承認によって成り立つコミュニケーションはもとより、闘技型のコミュニケーションにしても、それは、自分が誰であり、相手が誰であるかがわかったうえでなされるのであって、「闘技に参加する当事者同士の責任意識」がないかぎり、コミュニケーションにもとづく公共世界は成り立ちえません。
　こうしたコミュニケーションにおいて、責任は「応答」という意味を帯びます。いずれにせよ、言論の自由が滅公奉私ではなく活私開公と結びつくためには、「自己と他者への責任意識」が不可欠ということは、いくら強調してもしすぎることがないでしょう」（151）

△キーワード：責任　応答　丸山真男

◆20100121, 0303, 0502, 0524, 20130105

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