高木豊三（たかぎ・とよぞう　1852-1918）

▼人
□司法官。帝国大学講師。

▼文献
■ブーフ著・高木豊三訳、1877（明治10年12月）『佛国刑法略論』司法省.★
　★フランス法律学士、ブーフによる『レジュメ　ジユ　コード、ぺナール』（1872）の訳。
■高木豊三、1884『刑法義解増補　第1巻』時習社博聞社.→高木豊三述、1996『日本立法資料全集　別巻74　刑法〔明治13年〕義解（増補）』信山社.
■ベリーム著・高木豊三訳、1883（明治16年11月）・1884（明治17年2月）『佛国法理論　第1篇・第2篇』司法省.

▼引用
■ブーフ著・高木豊三訳、1877（明治10年12月）『佛国刑法略論』司法省.
□「○第一章　犯人ノ有罪（キユルパビリテー）又ハ無罪（ノンキユルパビリテー）タル事
　○第一款　有罪ノ要件（コンジシヨン、ドギユルパビリテー）
凡ソ人ニ罪有リト云ハ、（第一）其人ニ於テ一事ノ責ム可キモノアリ、且其人其責ニ答エザル可カラス、（第二）其事タル其人本分ノ義務ノ缺失ヲ成スト云ニ異ナラス。・・198
　故ニ罪（キユルパビリテー）ノ問題ハ罪視（アンビユタビリテー）ト責任（レスポンサビリテー）トノ二念ヲ提起ス。
　其ノ事ニ就キ、其ノ人ヲ罪視スト云ハ即チ其人ノ所為ナラント胸算シ且ツ其事ニ就キ其責ニ応ヘシムヲ云ナリ。故ニ其責任ハ罪視ニ根拠ス。何トナレハ其責任トハ其罪視ヲ弁白スルノ責有ルニ過キザレハナリ。凡ソ其人ノ所為ニ就テ弁解ヲ為ス可キ責ヲ負ハセ従テ、其善悪ノ現効（コンセカンス）ヲ受ケシメントスルニハ其人其事実ヲ行フト行ハサルト自由ニシテ〔止ヲ得サルニ出サルヲ云也〕且其事ノ善悪正邪ヲ識別シ得ヘキ者タラサル可カラザルナリ。
　又善行或ハ悪行ニ就テ之ニ応答スルノ任ヲ有スルヲ得ヘシ故ニ、責任（レスポンサビリテー）ハ其効（ヱフヱー）トシテ褒賞ヲ得ルコトアリ、又刑ヲ科セラルコトアリトス然レドモ尋常ノ意義ニ於テハ罪視又ハ責任等ノ語ハ悪行ノ為メノミニ用ユルモノナリ。故ニ責任ノ現効タル刑ハ本分ノ義務ニ欠クルコト即チ過失（フヲート）即・・199　チ有罪ニ根拠ス。
　由之某人ニ罪アリト云ハ即チ其人其事ノ行否自由ニシテ且其邪正ヲ明知シナガラ法律ニ背戻シタリト確言スルモノトス」（198‐200）

△キーワード：責任　法　明治

□「刑法上ノ罪、即チ爰ニ論述セントスルモノ有トスルニハ犯人左ノ諸件ヲ具有スルヲ要ス。
　第一　自由（リベルテー）　行フト行ハサルハ其人自由ナルコトヲ云ナリ
　第二　心理（レゾンモラール）〔即チ是非ノ心〕　即チ罪視スルニ欠ク可カラザル要件
　第三　刑法上ニ犯罪ト定メタル過失（アヲート）ノ現在スルコト」（200）

△キーワード：責任能力

■高木豊三、1884（明治17）『刑法義解増補　第1巻』時習社博聞社.→高木豊三述、1996『日本立法資料全集　別巻74　刑法〔明治13年〕義解（増補）』信山社.
□「第26号　以上説ク所ノ如クナルカ故ニ余輩ハ吾人ノ良心ヲ證トシテ左ノ二箇ノ無形ノ事実ノ存在スルコトヲ確言スルヲ得可シ曰ク第一、人類ノ外ニ道徳法在テ存スルコト。第二、人此道徳法ニ適従スルカ為メニ自由アツテ存スルコト是ナリ。
　既ニ斯ク二箇ノ事実アツテ存スルトキハ復タ必然ノ果效ヲ生ス。即チ人ニ責任アルコト（レスポンサビリテー）是レナリ」（44）

□「若シ人其道徳法ノ訓令（プレスクリプシヨン）ニ従フヲ要シ而シテ之レニ背ケハ責任アリトセハ今之レニ反シ人其本分（ドヲアール）ノ区域内ニ行フタルトキハ其所為・・44　ハ侵スベカラサルモノタリサレハ、人ノ自由ハ責任ヲ生シ責任ハ又不可侵ノ理（アンウヨラビリテー）即チ権理（ドロア）ヲ生スルナリ」（44‐45）

△キーワード：自由　権利　責任

□「第39号　吾人各々正義ノ意想（イデー、ド、ジユス、チース）ヲ有ス故ヲ以テ悪事ヲ為セハ殃報（罰）アルヘク善行ヲ為サハ慶報（賞）アルベシトハ、古今万国ノ口吻ニ膾炙シ夫ノ一丁字ヲ解セサル田夫野人ト雖トモ猶且其然ルヲ知レリ是・・63　レ蓋シ人類固有ノ意想ニシテ良心ノ自然ニ指示スル所ナリ。○今其確正ナルコトヲ吾人ノ心理ニ質スニ前既ニ論述セル如ク、凡ソ人タル者ハ其所為ニ就テ必ス責任アル者ナリ而シテ此責任ハ人ノ本分（ドヲワール）ト自由トノ必然ノ果効タルニアラズヤサレハ責任ノコト論スルハ即チ制裁ノコトヲ論スルナリ。制裁ノコトヲ論スルモノハ、即チ賞罰ヲ論スル者ナリ。而シテ此賞罰ハ其行蹟苟モ人ノ人タル法則ニ適合スルト否トニ従ツテ、鑒別スルモノナリ」（63‐64）

△キーワード：責任　制裁

◆20100205, 0304, 0502, 0523, 20130106

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