タキトゥス（Tacitus, Cornelius. 55頃-120頃）

▼人
□古代ローマを代表する、歴史家。

▼文献
■タキトゥス／田中秀央・泉井久之助訳、1953『ゲルマーニア』岩波文庫.

▼引用
■タキトゥス／田中秀央・泉井久之助訳、1953『ゲルマーニア』岩波文庫.
□12章司法
□「会議においては訴訟を起こすことも、生死の判決を促すこともできる。罰の判定は罪によつて一様ならず、裏切り者と脱走者は木に吊し、臆病者、卑怯者、或は恥づべき罪（破廉恥罪）を犯したものは、頭から簾をかぶせて、泥沼の中に押し沈める。処罰の仕方に相違があるのは「犯行」（scelera）は処罰の際に見せしめにすべきであるが、「恥行」（flagitia）は隠蔽すべきであるといふ建前からである。一方、より軽い罪にも、やはり相応した処罰があり、〔その〕有罪の宣告を受けたものは、馬や家畜を一定の数だけ支払はなくてはならぬ。この償ひの一部は王或は国に、一部は原告自身、またはその親近者に引き渡される」（53）

□21章反目と友好
□「父またはその他、血縁のものの含んでゐた仇情は、その友情と同様に引き継がれなくてはならぬ。しかし執拗に、いつまでもつづくのではなく、殺人でさへ、牛や羊の一定の数によつて償はれ、その（殺された者の）一族は、この賠償を受納するのである、――如何にも、自由と並べ置かれた仇情は、一段と危険なものであるとすれば、この制度たるや、社会に対して、まことに有益なものといはなくてはなるまい」（80）

□「父またはその他血縁のものの含んでいた敵愾心は、その友情と同様に引き継がなくてはならぬ。しかし、執拗に、いつまでも続くものではなく、殺人でさえ牛や羊の一定の数によって償われ、その（殺された者の）一族はこの賠償を納めるのである、――如何にも、自由と並べ置かれた敵愾心は、一段と危険なものであるとすれば、この制度たるや、社会に対して、まことに有益なものといわなくてはならない」

◆20090802, 20110103, 0501, 20130106

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