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下村湖人（しもむら・こじん 1884-1955）
▼人
□小説家・社会教育家。
▼文献
■下村湖人、1941『次郎物語 第一部』→下村［1969a：3-282］
■下村湖人、1942『次郎物語 第二部』→下村［1969a：283-539］
■下村湖人、1944『次郎物語 第三部』→下村［1969b：3-202］
■下村湖人、1948『次郎物語 第四部』→下村［1969b：203-500］
■下村湖人、1954『次郎物語 第五部』→下村［1969c］
■下村湖人、1969a『次郎物語 上（第一部・第二部）』旺文社文庫.
■下村湖人、1969b『次郎物語 中（第三部・第四部）』旺文社文庫.
■下村湖人、1969c『次郎物語 下（第五部）』旺文社文庫.
▼引用
■下村湖人、1941『次郎物語 第一部』→下村［1969a：3-282］
□「彼はやはり泣きつづけていた。しかし、もう彼の涙は、決してわけのわからぬ涙ではなかった。彼は父の立場を考えた。彼自身の立場を考えた。そして、何かしら非常に重たいものが、彼の五体にのしかかってくるような感じがした。
彼はむせびながら言った。
「父さん、悪かったよ。僕……僕……」
彼のこの謝罪には、少しの偽りもなかった。かといって、それは純粋な感情の表示でもなかった。この言葉の奥には、感情とともに理性と意志とが働いていた。彼はもう一個の自然児ではなかった。複雑な人生に生きて行く技術を意識的に働かそうとする人間への一転機が、この時はっきりと彼の心にきざしていた。それほど、彼は、彼自身と周囲との関係をおもおもしく頭の中に描いていたのである」（234）
■下村湖人、1948『次郎物語 第四部』→下村［1969b：203-500］
□「次郎は、言えば言うほど自分が片意地になって行くような気がして、不愉快だった。で、恭一がまた何か言おうとしているのをはねとばすように、ふいと立ち上った。そして、
「とにかくあやまる必要はないよ。僕が僕のやったことに自分で責任を負えばいいだろう。」
そう言って階段の方に行きかけた」（470）
◆20100327, 0502, 0531, 20130108
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