村上千鶴子（むらかみ・ちづこ）
□「このような状況下にある組織構造で適応するには、自己責任の回避、組織利益の盲目的な追求をする資質が必要とされるが、それには、「自己決定と自己責任」という大人の条件が障害になるのである。そのような組織に誰が魅力を感じるだろうか。若者にそっぽを向かれても仕方のないことを大人がやっているのである。それだけで終わればまだ良いが、この自己責任の不在は、社会情勢の危険な変動に対しても、大人の対応ができない大人を作っているのである」（149）
□「[…]無気力な若者を一朝一夕に意欲的・献身的な若者に変貌させるために、戦争以上に有効な手段はないとして、もっともらしい理由をつけて戦場に駆り立てるような愚は決してあってはならない。必要なのは、日本の未熟な組織運営を成熟化させる諸制度の整備（北欧のオンブズマン・オンブッドなど機能する行政監視機関の設置など）、狭い自己利益のみとらわれることのない公共性・公平性の教育、自己責任を担える主体性滋養の教育などであろう」（152）
△キーワード：自己責任 社会化