松井孝典（まつい・たかふみ　1946-）

▼人
□地球物理学・地球学。静岡県出身。東京大学。東京大学名誉教授。

▼文献
■松井孝典、2003『宇宙人としての生き方――アストロバイオロジーへの招待』岩波新書.

▼メモ
◆価値の相対性
□「しかし、「個人の尊厳」の「普遍性」も通歴史的に見れば、ひどく限定的なものでしかないかもしれない。
　例えば、地球惑星科学の松井孝典は「今のままの発想で人間圏を運営すれば、人間圏という生き方を続けられるのは100年だろうと私は思っています。人間圏の拡大率の異常さを見る限り、人間圏の存続時間がそう長くないのは自明なことだと思います」という（松井孝典[2003：192]）。
　「個人の尊厳」という「公共的価値」、それを達成しようとする「近代社会のしくみ」は、松井孝典のいう「人間圏」の一部にあたる。宇宙の誕生という視点を含めた150億年という時空スケールで考えれば、「人間圏」の誕生（約一万年前）以後にあらわれた、たかだか200年そこらの近代社会という社会的な文脈においてのみ「個人の尊厳」という「公共的価値」は妥当するものなのかもしれない。人間圏の終末期――松井孝典の予想に沿って100年後（もっと早いかもしれない）「近代社会のしくみ」が資源の限界で破綻するころ――には、「個人の尊厳」という「公共的価値」の「みなし」は、藻屑と消え去ってしまうかもしれない。残念なことだが」

◆20100211, 0302, 0502, 0530, 20130107

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