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Lukes, Steven Michael.（1941-）
▼人
□「社会学者。ニューヨーク大学教授。博士論文であるデュルケームの浩瀚な思想史研究でも有名。『現在権力論批判』では、当事者の利害そのものを既存の秩序へ適応させることで紛争の契機を予め奪う「三次元的権力」の認識の必要を説き、観察可能な紛争のみに関心を持つ行動主義政治学を批判した」（横濱[2006：872]）
▼文献
■Lukes, Steven Michael. 1973. Individualism. Blackwell.＝1981、間宏監訳『個人主義』御茶の水書房.
▼引用
■Lukes, Steven Michael. 1973. Individualism. Blackwell.＝1981、間宏監訳『個人主義』御茶の水書房.
□目次
□第1部 「個人主義」の語義の歴史
□第2部 個人主義の基本的観念
□7 人間の尊厳
□8 自律性
□9 プライバシー
□10 自己発達
□11 抽象的個人
□12 政治的個人主義
□13 経済的個人主義
□14 宗教的個人主義
□15 倫理的個人主義
□16 認識論的個人主義
□17 方法論的個人主義
□第3部 これら諸観念間の関係
□18 平等と自由
□19 諸学説
□20 平等と自由を真剣に考えること
□「前章の基本的観念と区別される第二のそれは、自律性（autonomy）あるいは自己志向（self-direction）の観念である。それによれば、個人の思想や行為は、自ら決定によるのであり、かれの統制の及ばない機関や原因によって決定されるのではない。とくに、個人が（社会的に）自律的であるのは、自分が直面する圧力や規範を意識的、批判的に評価し、また自立的、理性的に熟慮した結果として自己の意向を固め、具体的な決定に達する程度によろ。
この観念は、（アリストテレスAristotle以後）聖トマス・アクィナス（St. Thomas Aquinas）によって、はじめて明確に表現されたように思われる。中世の伝統的教義によれば、上位者の命令には、それが正当であろうとなかろうと、従わなければならなかった。トマスにとって、良心が命令に服することを許さない場合は、それに従う必要はなかった。「人びとはみな、神から授かった知識に照らして、自らの行為を検討すべきである」、とかれは主張した」（79：8）
□「宗教的領域での自律性は、ルターの論述においてきわめて明確にされた。「……万人はみな聖職者である。なぜなら、われわれは、すべて唯一の信仰、唯一の福音、そして唯一の聖典を持っているからである。それゆえ、どうしてわれわれには、信仰において、何が正しく何が誤っているかを、吟味ないし検討し、判断する資格がないと言えようか」。ルターは、これまで言われてきたように、「教会によって作られた〔集合的〕信仰心を自律的な人間の信仰心に置きかえた」。この自律性の観念は、カルヴィンが、個人の責任を強調したこと、また人間の良心が「かかわりをもたなければならないのは人間とではなく、神とのみである」と説いたことによって明らかである」（80：8）
□「宗教的個人主義（religious individualism）とは、個々の信者が媒介者を必要とせず、自己の精神的運命に基本的な責任を負い、自分なりの方法や努力によって神との霊的交りを結ぶ権利と義務をもつとする見解であると定義される」（139：14）
□「宗教的個人主義は、このように宗教理論であるとともに、宗教の本質についての見解でると言えよう。さらに、それは、より深遠でかつ重要な二つの観念を示している。精神的平等と宗教的内省（self-scrutiny）がそれである。前者は初期の教会ですでに強調されており、後者は聖アウグスティヌスの『告白』のなかで明示された。確かに、宗教的個人主義は、少なくともエレミア記にまでさか・・139 のぼりうるであろうが、しかしその近代的な形態は、その特質上、宗教改革からはじまる。宗教改革の時代において、それは「内なる光（inner light）」、信仰によって義とされること、それに万人祭司、という言葉で表現された」（139-140：14）
▼メモ
◆個人主義
□「ルークス（Lukes）は、宗教的個人主義（religious individualism）の起源を、エレミアの書までさかのぼりえることを指摘するが、その「近代的な形態」を「宗教改革」にもとめる（Lukes[1973＝1981：139-40]）」
□「「個人主義」と「個人の尊厳」についてLukes[1971＝1981]」
▼参考文献
●横濱竜也、2006「ルークス、スティーヴン」大庭・井上・加藤・川本・神崎・塩野谷・成田編集委員[2006：872]
■大庭健・井上達夫・加藤尚武・川本隆史・神崎繁・塩野谷祐一・成田和信編集委員、2006『現代倫理学事典』弘文堂.
◆20100530, 20130107, 0328
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