鴻上尚史（こうかみ・しょうじ　1958-）

▼人
□愛媛県出身。1981年劇団「第三舞台」を結成。作家・演出家。

▼文献
■鴻上尚史、2009『「空気」と「世間」』講談社現代新書（2006）.

▼引用
■鴻上尚史、2009『「空気」と「世間」』講談社現代新書（2006）.
□「日本では、個人を支えたのは「世間」でした。けれど、都市化と経済的・精神的なグローバル化と格差社会によって「世間」はかなりのレベルまで壊れています。
　その結果、日本人はより不安定になり、自分を支えてくれる「なにか」を、「世間」が安定していた時代よりもはるかに強く求めています。
　けれど、多くの日本人にとって、それは、宗教の「神」ではありません。
　日本でアメリカ式の新自由主義を導入しようとする経済学者に対して、僕は、「キリスト教が支えてくれないのに、どうしてそんなことができるんだ？」と呆れていました。同時に、「自己責任」という言葉を言い出した政治家と、その言葉に乗ったマスコミにも呆れていました。
　アメリカ人は「神に強烈に支えられた個人主義者」でしかないのです。それは、強い個人でもなんでもありません。牧師の説教に興奮し、涙ぐみ、すがるアメリカ人を見れば、それはすぐに分かります。
　「自己責任」なんて言葉を、何も支えるものがない日本で、政治的意図だけで簡単に言い出す政治家や、それに乗ったマスコミに対して、本気なんだろうかと僕は思っていました」（181）

△キーワード：アメリカ　自己責任

◆20100125, 0302, 0502, 0602, 20130107

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