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岩野清子（いわの・きよこ 1883-1920）
▼人
□旧姓遠藤、東京生まれ。『青鞜』創刊当初から社員として参加。岩野泡鳴と結婚。
▼文献
●岩野清子、1914「個人主義と家庭」『青鞜』4-9（1914-9）.→加納[1990：21-25]
■加納実紀代、1990『思想の海へ[解放と変革]22 自我の彼方へ――近代を超えるフェミニズム』社会評論社.
▼引用
●岩野清子、1914「個人主義と家庭」『青鞜』4-9（1914-9）.→加納[1990：21-25]
□「個人主義という文字は、現代では決して目新らしい文字ではない。それだけにまた各人各様の意味に解釈されている。ある者は排他主義非国家主義だと思っている。ある者はまた理性も省察もない単なる利己主義だと思っている。しかしながら、少なくとも私一箇の主張している個人主義の内容は、単なる排他主義非国家主義ではない。まして盲目的な利己主義ではなおさらない。私の云う個人主義の内容を説明的に解剖すれば、自己の生活に虚偽、手段を排して、正直に真剣に自己を取扱ってゆこうとする考えを基礎に置いたものを指すのである。没我的家族主義が自己というものを粗末に、つまり自己を忘れ、自己を軽く見ることを美徳としているのが、自己に対して不真面目、不忠実になることであるからである。個人主義は、そういう不忠実不真面目を排して、自己を生かすことに、真剣に真面目に努力するという意味から出た家族主義に対して起った文字なのである」（21）
□「現代のすべての家庭において波瀾の起ってきたゆえんは、おぼろげながら各人各個に自我の独立性を自覚しつつあるからである。どんな人間にも大なり小なり所有している個性を、親、あるいは夫の個性の中に埋められ、その発達自由を圧迫されるのに堪えられなくなったからである。新旧思想の衝突はこうして若い青年男女の、家庭を呪う声となり、旧道徳の破壊となったのである。
私はこの時代思潮を、各人の自覚を促すための道程で慶賀すべき傾向だと思っている[…]」（23）
◆20110405, 20130105
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