広津和郎（ひろつ・かずお　1891-1968）

▼人
□小説家、翻訳家。麻布中学、早稲田大学。

▼文献
●広津和郎、1917「自由と責任とについての考察」『新潮』（1917‐7）→広津[1958]→多田編集[1965：335‐339]

■広津和夫、1958『自由と責任とについての考察』中央公論社.
■多田道太郎編集、1965『現代日本思想体系18　自由主義』筑摩書房.335‐339.

▼引用
●広津和郎、1917「自由と責任とについての考察」『新潮』（1917‐7）→広津[1958]→多田編集[1965：335‐339]
□「ある人は、たとえばアルツィバアセフのごときは、人間は絶対自由であるという立場から出発して、それゆえに、人間はいかなることをしても、その結果を引き受ける責任は毫末もないという思想に到達する。人間はしようと思えば、強盗でも、殺人でも、破倫でも、何でもできるのである。あらゆることをして人間は自己を享楽することをゆるされているのである。それをみんな神が人間にゆるしているのである。だからわれわれはその結果がどうであろうとも、そんなことの責任を引受ける必要は少しもない。――こういう思想に到達する。
　つまり、人間は絶対自由であるから、だから何の責任もないというのである」（336）

□「われわれは何ごとでもすることができるようにゆるされている。絶対自由に放任されている。――かるがゆえに、われわれがわれわれの生活をいかに導こうとも、それは「われわれ以上の存在」すなわち神の責任ではないではないか。われわれが自由であるがゆえに、すべてのわれわれの生活に対する責任はわれわれ自身にあるのではないか。われわれのすることが自由であるがゆえに、その結果もまたわれわれの上に当然帰ってこなければならないではないか。――うまい汁はみんな自分で吸って、自分に悪いことはみんな神の罪に、運命の罪に帰せようとするのは、あまりに虫がよすぎる。
　このゆえに、真の個人主義者は最も責任感の強い人間でなければならない」（337）

△キーワード：責任　無責任　自由

◆20100125, 0301, 0502, 0519, 0523

≫HOME　≫人名リスト