速水健朗（はやみず・けんろう）

▼人
□編集者・ライター。
◇HP→http://www.hayamiz.jp/

▼文献
■速水健朗、2008『自分探しが止まらない』ソフトバンク新書.

▼引用
■速水健朗、2008『自分探しが止まらない』ソフトバンク新書.
□「宗教や国家といった共同体が個人よりも重視されたのがかつての世界だった。
　しかし現代では旧来の宗教は徐々に日常から切り離され、新自由主義により国家の役割が小さくなり自己責任の下の自由が叫ばれるようになり、より個人に重きが置かれる時代になってきた。そして「自分」が何よりも重要視される時代が生まれた。
　戦後の日本では、会社主義とも呼ばれるような、頼れる会社が中心となって社会を作っていった側面が大きい。終身雇用制度により人生は先行きの見える安定したものとなり、努める人間たちも会社に忠誠を誓ってきた。また、福祉が貧弱なこの国では、企業がそれに代わって社員の福祉を担ってきた。しかし、そういった個人と企業の結びつきは、すでに半ば失われたものになった。成果主義の導入や非正規労働者の増加は、日本的な会社主義の終わりを意味している。
　こうした頼るべき宗教や会社を失った現代においては、自分の生きる道は自己責任のうえで選び取っていかなくてはならない」（212）

□「しかし、現実には個人が自分で主体的に選択肢を選び取ることは、簡単なものではなかった。結局は自分で生き方を選びとることができず、逆に重責に押し潰され、他人の生み出した物語に委ねる者が後を絶たない。スピリチュアルや自己啓発書などが流行するというのは、自分で選べない個人の増加を意味しているのだ。多くの人間にとって、自己選択と自己責任が要求される現代は生き難いものであり、そうした現代社会に対応できなくなった個人があふれているのが、本書が浮き彫りにしてきた、「自分探し」が止まらない現代の姿なのだ」（213）

△キーワード：自己決定　自己責任

◆20100220, 0301, 0502, 0519, 0523, 20130105

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